こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。
4月24日に、
徘徊して電車にはねられた認知症の男性(当時91歳)の妻に対して、
約360万円の損害賠償を支払うようにとの二審判決がおりました。
これは、2007年に愛知県大府市のJR東海共和駅構内で起きた事故の判決です
。
午後4時半ごろ、デイサービスから戻った男性が妻と長男の嫁と一緒にお茶を飲みました。
そして、妻が目を離したすきに男性は家を出て行ってしまい、
家族が近所を探し回っていた5時47分に事故が起きたのだそうです。
同居の妻は要介護1、長男は神奈川県に住み、
長男の嫁が介護を手助けするために近くに転居していました。
この事故によって運休した電車は34本、影響を受けた人は2万4千人。
鉄道事故では、
振替輸送費や特急券等の払戻金、
列車の運休による機会損失費や設備の修理費、人件費などがかかり、
JR東海は約720万円を遺族に請求しました。
2012年8月、
一審の名古屋地裁の判決では、
男性の妻と長男に請求通りの支払いを命じ、
遺族が控訴していました。
2014年1月、名古屋高裁は双方に和解を勧告しましたが成立しませんでした。
名古屋高裁の二審では、妻は民法上の監督義務があり、
外出を把握できる出入り口のセンサーの電源を切っていたことから、
「徘徊の可能性のある男性に対して監督不十分な点があった」としました。
JR東海にも、駅で十分に監視していれば事故を防止できる可能性があったと指摘して、
賠償額を5割にとどめたそうです。
一審判決で責任があるとされた長男は、「20年以上別居しており、監督者にあたらない」とされました。
そして、5月8日にJR東海が、9日に遺族が最高裁に上告しました。
NHKニュースで、
2005年から2013年までの8年間に認知症の人が鉄道事故によって死亡した数は
少なくとも64人と言っていました。
これらの人たちの遺族は損害賠償を請求されたのでしょうか。
詳細は不明ですが、支払い能力に応じて、
鉄道会社と遺族の和解が成立するケースがほとんどだそうで、
裁判に持ち込まれたのが今回のケースらしいのです。
認知症の人を地域で見守る、
安心して徘徊できる町を目指すという国の方向性が打ち出されても、
それが機能していない地域はたくさんあります。
家族の責任の重さに
言いようのない不安を感じた家族は多いのではないでしょうか。
認知症の人を閉じ込めておけというのか?
家族はずっと見張っていなければならないのか?
家族の責任は?
いろいろ考えさせられるニュースです。
つのちゃん
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