「逆指名」なら聞いたことがあるという人はいませんか。
1993年から2006年まで、日本プロ野球には、ドラフト上位候補選手が希望するチームを指名して入団できる「逆指名制度」がありました。1球団2名まで、大学生と社会人野球の選手に限り設けられた制度で、1997年、慶応大学の高橋由伸は巨人を逆指名して入団しています。
さて、本題に戻りますが、「逆紹介」とは何でしょう。
その前に、逆ではない「紹介」から解説しますね。
日本は、健康保険証をもっていればどの病院にも掛かれるため、軽い風邪や腹痛でも、設備の整った大学病院を受診する人が絶えませんでした。その結果、大学病院はいつも患者が溢れ、高度な医療を受けるべき重篤な人が治療を受けられない事態が発生していたのです。
そこで、厚労省は、「初期の治療は地域の医院・診療所(かかりつけ医)で、高度・専門治療は病院で」という患者の流れをつくろうと、高度先端医療を提供する「特定機能病院」を受診するためには、かかりつけ医による「紹介状(診療情報提供書)」を必要とするという医療制度を始めました。一般病床500床以上の地域医療支援病院を受診する際も、紹介状が必要です。
紹介状がない場合、初診時選定療養費(消費税込み5,400円)が徴収されます。病院によっては、近隣にある一般病院を受診して紹介状をもらってくるようにと指示されるところもあり、紹介状がないと受診を断られることがあります。(例外として、救急車で救急搬送された場合は、定額負担を求められません)
こうして、近くの病院では検査や治療ができないと判断された患者は、紹介状を持って専門的な高度医療を受けることができる病院を受診するという流れができました。
これが、「紹介」です。
次の段階になりますが、特定機能病院で治療して病状が安定した患者が、その後も同じ病院で外来診療を受けていたら、また患者が溢れてしまいます。それを防ぐために、特定機能病院の外来担当医は、患者の状態に合わせて他の医療機関への「逆紹介」をすることが義務付けられました。
これが、今日のテーマである「逆紹介」です。
担当医から逆紹介の申し出を受けたけれど、本人が希望して引き続き特定機能病院を受診する場合は、再診時選定療養費(消費税込み2,700円)が徴収されます。
また、患者は再診だと思っていても、①診療予約がない、②1カ月以上(病院によって期間が異なる)受診していない、③1か月以内に受診歴はあるが、異なる疾患で受診、などの場合は初診扱いになり、5,400円を徴収されるので注意が必要です。
これらの制度は、必要なときに専門医や専門医療機関を紹介してくれ、そこでの治療に目途がついた後は、再び引き受けてくれる近所の医院・診療所をもつことが大事であるという考えに基づいています。
入りたい球団を逆指名する野球選手のように、特定機能病院の担当医に、「近所の〇〇先生にお世話になりたいのでよろしくお願いします」と逆紹介先を自信をもって告げることができたらいいですね。
かかりつけ医と専門医療機関の主治医が、紹介状を通じて連携して見守ってくれたら、何より安心です。
特定機能として厚労省から承認を受けている医療機関一覧(2018年12月1日現在)
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/301201tokuteikinou.pdf
つのちゃん
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