前回は、タンス預金をしている高齢者が多いという話を取り上げました。家に現金を置いておくのは危険を伴いますので、今回は安全な金銭管理について考えてみたいと思います。
高齢になっても、自分のことは自分でしたいですね。それが自尊心ですし、生きがいです。金銭管理も長年自分でしてきたのですから、急に子どもに指図されたら、自分が無能の年寄りだと言われたようでカチンとくるのではないでしょうか。
しかし、親が、必要でないものを買ったり、同じものを何個も買ったり、高額品をセールスマンに勧められるままに買っていたら、心配になりますね。年金が入ると、数日で使ってしまうと嘆く子どもさんもいました。
また、カードで買い物をしたり、テレビショッピングで注文したりを繰り返すと、指定口座からどんどんお金が引き落とされてしまいます。インターネットで一度買い物をすると、その後は欲しい商品をクリックするだけで商品が自宅に届くなど、便利になった分、怖いですね。
「親のお金を親自身が使うのだからいいか」と見守れるうちはいいです。しかし、今後の暮らしを危うくするようなお金の使い方をしていたら、不安になりますよね。
そこで、一つの打開策を考えてみました。
『日常的に使う預金口座を開設する』
これまで使用していた銀行口座を資産管理用にして、新たに口座をつくります。入金額は、それぞれの家庭で妥当な額に決めましょう。ここからなら親が自由に引き出しや引き落としをしてもいいことにすると、金額に上限があるので本人も自制するようになるでしょうし、家族は安心できます。
本人と生計を同一にする家族であれば、本人のキャッシュカード以外に「代理人カード(家族カード)」をつくっておくと便利です。
親が認知症になっても、「親の生活費」を家族が代理人カードで引き出すことは税制上問題ないそうです。
もともと複数の銀行口座をもっているなら、この際、目的別に整理するといいですね。判断能力のある親に頼まれて、親のキャッシュカードでお金を下すことは問題ありません。生活費や入院費のために使う口座を決めて、その銀行のキャッシュカードの暗証番号を教えてもらっておけば、親が銀行に行けなくなったときに手助けができます。
また、親御さんがお亡くなりになった後で、取引していた銀行がわからなくて困ったという話をよく聞きます。親御さんが大切に貯めてきたお金を無駄にしないために、銀行名だけでも教えてもらっておきましょう。遺産相続のときにその銀行に問い合わせれば、預金を相続することができます。
「結局、介護はお金よね」という現実に直面する前に、親御さんの金銭管理に関心を持っておくことをおすすめします。
つのちゃん
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