8月24日(土)の日経新聞に、ショッキングな記事が載っていました。
「標準体型※の認知症の発症リスクを1とすると、女性の痩せ型は1.72、肥満は0.82、高度肥満は0.61となり、太っている人ほど発症リスクが低かった。」
「男性の場合は痩せ型が1.04。女性ほど差は大きくないものの、標準体型より発症リスクは高かった。肥満は0.73、高度肥満は0.91だった。」
欧米では、肥満が進んでから糖尿病を発症する人が多いことと、アルツハイマー型認知症は脳の糖尿病と呼ばれるほど認知症との関係が深いことが、以前から指摘されていました。
記事にあるように
「欧米では肥満の人が認知症になりやすい」
「一般に、認知症のリスクを上げる要因となる糖尿病は、肥満の人がかかりやすい」はずなのに、
「太っている人ほど(認知症の)発症リスクが低かった」のはなぜでしょうか。
今回の研究は、「日本老年学的評価研究機構」が、高齢者3,696人を対象に2010年から約6年間追跡調査し、338人が認知症になったことに基づいています。
山梨大大学院の横道洋司准教授は、「今回の調査結果は、東アジア人の体質が関係している」と指摘しています。
東アジア人は肉食文化の欧米人に比べて、歴史的にインスリンを必要とする肉や脂肪を食べてこなかったので、血糖値を下げるインスリンの分泌量が少なく、やせ形の人でも欧米人に比べると糖尿病になりやすいそうです。
また、日本人の場合、やせることで糖尿病にかかりにくくなる効果は欧米人より小さいとか。
自分は太っていないから糖尿病になるはずがないと、偏った食事や暴飲暴食をしていると危ないのですね。
さらに、横道准教授は
「体重を落として筋肉まで減ると、脳を刺激するホルモンが減少するなどの悪影響がある」、
やせることには「筋肉の減少で認知症の発症リスクが上がる影響のほうが大きくなる可能性がある」
と述べています。
このところ、ご飯やパンの量を減らし、キャベツなどの野菜から食べることを心がけているのですが、運動せずにやせると、筋肉がてき面に落ちてしまうことを実感していました。
筋肉は熱を発生する部位なので、筋肉量が少ないと低体温や冷え性になることは知っていましたが、認知症の発症リスクにもなるのかと驚きました。
高齢者医療に真剣に取り組んでいる医師から、
「74歳まではメタボ予防、75歳からは低栄養を防ぐことが大事」
「高齢者には、高血糖もコレステロールもみんな栄養なんだから、制限しなくていい」
という話を聞いていました。
今回の調査結果を目にして、高齢者ではダイエットや食事制限よりもしっかり食べて痩せないことが認知症予防になると改めて思いました。
新聞記事の最後は、
「やせ型の人の認知症発症リスクの上昇幅に男女差があることについて、横道准教授は『女性が認知症になると、料理が苦手な男性が介護するケースが多く、筋肉がさらに落ちることにつながるのではないか』とみている。」
と結ばれていました。
男性も女性も、料理ができることが元気に長寿を迎える秘訣かもしれませんね。
※体格指数(BMI)=体重(㎏)を身長(m)の2乗で割る
痩せ型 18.5未満
標準体型 18.5~25未満
肥満 25~30未満
高度肥満 30以上
つのちゃん
最新記事 by つのちゃん (全て見る)
- 住まいのエンディングノート - 2024.11.01
- 最期をどこで迎えるか - 2024.09.30
- MCI(軽度認知障害)を知っていますか - 2024.09.02