介護アドバイザーの角田です。
「認知症の親の預金を子供が勝手に下してはいけない」といわれると、
「それはそうだ。親のお金を使い込む悪い子供がいるから」と思います。
しかし、認知症の親の介護費用を親の預金から出したいと思っても子どもが下せないのは困ります。
預金の引き出しには原則として本人の意思確認が必要です。本人の意思確認が不十分なのに銀行が引き出しに応じた場合、「無効」だと銀行が訴えられる恐れがあります。
認知症になると意思確認が難しいため、本人以外の人による預金の引き出しは認めないというのが銀行の見解でした。
そこで、親族や弁護士等の専門職が「成年後見人等」になれば、認知症の人に代わって預金を下ろせるから、成年後見制度を利用してはどうかと勧められます。
ところが、日本ではこの成年後見制度の利用が進んでいません。
手続きが面倒、専門職後見人や成年後見監督人への報酬が高い、第三者に親の財産管理を任せるのに抵抗があるなどの理由が挙げられていますが、個人の尊厳を守るという意識が薄いのかもしれません。
これから認知症の人が700万人になり、認知症の人の金融資産額が200兆円という時代を迎えるにあたり、
全国銀行協会は2月18日、認知機能が低下した高齢者らに代わって、親族などが預金を引き出すことを条件付きで認めるとの見解を発表しました。
医療費の支払いなど預金者本人の利益になることが明らかな場合は、柔軟に引き出しに応じるよう全国の銀行に促すとのことです。
もちろん、成年後見制度の利用を基本にしています。
銀行では、診断書や担当医の見解、本人との面談を通じて認知判断能力が失われていると判断され、
かつ預金が医療費や介護施設入居費、生活費など本人のために使用されると確認できれば、親族による引き出しに応じるようになります。
各銀行によって対応が異なることもありますので、問い合わせてみましょう。
投資信託の解約なども可能になるケースがあるそうですので、相談してみるといいでしょう。
親御さんが認知症になると、お金の問題も子供に降りかかってきます。
親御さんがお元気なうちに、預金口座を整理し、金融資産について情報共有しておくことが必要ですね。
つのちゃん
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