介護アドバイザーの角田です。
仕事と介護の両立に立ちはだかるのは「時間」です。
介護が始まっても1日24時間は変わりません。
仕事時間を減らせば介護が楽になるのではと考え、正社員をやめてパート社員になろうか悩んでいる人もいるでしょう。
実際に、会社をやめて親がデイサービスに行っている間だけパートで働いているとか、親が寝ている時間にアルバイトをしているという人たちがいます。
パートとアルバイト、イメージが違いますが、法的な区別はないそうです。
ところで、正社員とパート社員はどこが違うのでしょうか。
正社員は定年までフルタイムで働くことを前提とした「無期雇用」であるのに対して、パート社員は、正社員よりも短い所定労働時間で働く労働者のことで、雇用期間の取り決めのある「有期雇用」がほとんどです。
有期雇用期間は1年で更新されることが多く、契約期間が満了した時点で、契約更新される人と契約終了になる人に分かれます。
賞与や退職金はなく、労働基準法で定められた有給休暇はあっても傷病休暇がなかったり、介護休業も契約更新とのからみで利用できない人が多いといわれます。
有期契約社員の場合、引き続き働きたいと思っても、労働条件通知書に明記してある契約更新の有無や判断基準(勤務成績、態度、会社の経営状況、業務の進捗状況など)に準じていれば、契約更新しなくても解雇にはあたらないとされています。
このように、正社員からパート社員に変わると1年後には「雇い止め」の対象になる可能性があることを知っていてほしいと思います。
また、日本では役員を除く雇用者のうち、パート・アルバイト・派遣社員・契約社員等の非正規の職員や従業員の割合は、男性21%、女性54%です(総務省「労働力調査2021年5月分結果」)。
コロナ禍で仕事を失ったのは女性が多いということとリンクしています。
年間10万人の介護離職者が問題視されていますが、これは離職理由を「介護・看護」であると自己申告した人の人数です。
「契約期間満了」でやめた人は含まれていません。
20歳以上の女性は、正規社員の転職よりも、非正規社員の転職が常に上位を占めています。雇い止めの結果の転職かもしれませんが、仕事を続けていることに変わりはありません。
「育児・介護休業法」の改正や「パートタイム・有期雇用労働法」の成立で、非正規社員の「公正な待遇の実現」を目指していますが、まだまだ不公平感は否めません。
筆者は「介護で仕事をやめないで」とセミナーで話していますが、「両立したいのに仕事をやめさせられる」と悩んでいる人には、
「今の仕事の更新が難しいなら、他の仕事を探してみませんか。介護に専念して仕事のブランク期間が長くなると、再就職の壁が厚くなってしまいます。介護はプロジェクトとして他の家族や専門家と協力する体制をつくり、自分のために仕事をしていた方がいいと思いますよ」
と伝えたいと思います。
誰もが安心して仕事と介護を両立できるようになってほしいですね。
つのちゃん
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