介護アドバイザーの角田です。
テレビから「帰ろうか もう帰ろうよ茜色に染まる道を 手を繋いで帰ろうか世界で一つだけmy sweet home」という歌詞が流れてきました。木山裕策の「Home」という歌です。
帰ろうかと聞いて、童謡の「夕焼け小焼け」を思い出しました。
「おててつないで みなかえろう カラスといっしょにかえりましょ」。
からすには「山の古巣に丸い目をしたいい子(「七つの子」より)」がいるからでしょうか。
北島三郎の「帰ろかな」もいい歌です。
皆さんにも「帰る」をテーマにした好きな歌があることでしょう。
さて、認知症になった親や配偶者が、家にいるのに「帰る」と言うという相談を受けることがあります。
「ここがあなたの家でしょ。どこに帰るの?」と家族は困ってしまいます。
今いる家は自分が覚えている家と違うから、記憶の中の家に帰りたがっているという説があります。
生まれ育った家、自分の親がいる家、夫やかわいい子供と過ごした家、若くて優しい妻と暮らした家かも
しれません。
それらの家に帰してあげたくてももうどこにもありません。
認知症になると、自分の気持ちをうまく言葉で表現できないことがあります。いつも家族に叱られて
つらい、自分が大切にされていない、居心地が悪い。
そんなときに「帰る」というのではないかと精神科の医師から聞きました。
「帰る」とも言わないで一人で家を出て行ってしまう人もいるそうです。自分が癒される場所をさがして、さがして、何時間も歩き続けてしまう。
ただ道に迷ってしまったケースもあると思いますが、行方不明になった認知症の人は2021年には17,636人に上りました(警察庁2022年6月発表)。
介護施設に入っている認知症の父親を迎えに行って、子供たち(孫)も一緒に外食を楽しんだという
息子さんの話です。
食事が終わって施設に送っていく時に父親が「どこに行くんだ?」と聞くので「帰るんだよ」と言うと
「そうか、家に帰るのか」と言ったそうです。
自宅には送っていけないので気持ちを重くしていたら、道の向こうに施設が見えたとき、父親が
「おお、家に帰ってきた」と言ったそうです。
職員さんに大切にされてすっかり馴染んでいるんだなとホッとしながらも、何とも言えない寂しさを感じたとのことでした。
あなたには「帰りたい家」がありますか。
認知症になっても安心して穏やかに暮らせる家があるといいですね。
つのちゃん
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