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【セミナーレポート】2023年6月27日(火)公開セミナー「大成建設のD&Iとワークライフバランスに関する取り組みの戦略」


 

本セミナーは、大成建設株式会社 管理本部人事部専任部長 塩入 徹弥 様にご登壇いただきました。
大成建設様は、2006年に女性活躍推進をスタートし、その後、ダイバーシティ推進に取り組みを広げてこられました。今回は、「周囲の巻き込み、意識改革」、「数値目標の設定」、「社外からの認知による社内への浸透」など、D&I風土を根付かせるための戦略や、その変遷について、長期にわたってD&I推進を進めてこられた塩入様にご説明いただきました。

 

本セミナーは、146名と大変多くの方にお申し込みをいただきました。また、アンケートに回答された約93%の方々に「非常に役に立った」「役に立った」と回答いただき、大変ご好評をいただきました。ありがとうございました。

 

■セミナー参加者様の声(一部抜粋)

      • 時系列で取り組みの紹介があり、その際の戦略や取り組み上の課題への対応策などについての説明があり、とても分かりやすかった。
      • 大成建設様のD&I推進の対策だけでなく、パネルディスカッションによってより深掘りしていただけたことで、非常にわかりやすく取り組みのイメージができた。
      • 計画的に長期的な目線でダイバーシティ推進をされていたことがわかった。数値目標設定とPDCAサイクル、外部の力を利用することの大切さがわかった。
      • 現場対応の従業員が多い会社がどのようにD&I推進を行っているかを理解できた。
      • DE&I推進が進んでらっしゃる印象のある大成建設さんでさえ、“社内からの理解が得られない”、“会社と世の中の動きのギャップがある”という大変さを抱えながらも、様々な取り組みを「継続」していくことで、成果につながることができたというお話を聞けたので、弊社でも引き続き施策等の取り組みを継続し、情報を発信し続けていきたいと思った。

 

■セミナー概要

【講演タイトル】
大成建設のD&Iとワークライフバランスに関する取り組みの戦略

 

【プレゼンター】
塩入 徹弥 氏
大成建設株式会社 管理本部人事部専任部長

 

【講演内容】

多くの企業が抱える課題

はじめに、D&Iを推進し経営戦略に活かすうえで多くの企業が抱える課題を整理していただき、これまでの取り組み事例をご紹介いただきました。

    • 女性活躍推進の成果がなかなか出せない
    • D&Iの風土醸成が進まない
    • 施策が点となっており、線としてつながらない
    • 多様性の推進のみでは混乱を招く

 

◆大成建設様のお取り組み事例

さかのぼること2006年にダイバーシティ推進(当時は女性活躍推進)とワーク・ライフ・バランスに取り組むことを決定し、翌2007年には本気度を示すために専門組織を設置し、指導的役割に就く人材を増やしていく具体策に着手をされました。

 

そして、D&Iの風土を根付かせるために、以下のような戦略的な取り組みをされています。

 

≪3つの戦略≫

①男性の巻き込み(女性活躍推進)

男女の意識調査

女性社員向けにキャリア意識の調査と、男性社員向けに女性活躍推進に関する会社の取り組みのアンケート調査を実施した結果、男女の意識の差が浮き彫りになった。
女性だけでなく男性を巻き込んでいくという考えで各種施策を行った。

介護離職防止
キャリア意識の調査から、親の介護が発生すると継続就業が難しいといった不安を持つ人が多いことが浮き彫りになった。仕事と介護の両立は男女ともに重要なテーマであり、男性もワークライフバランスを自分事として考えやすいはずという考えから、介護両立への理解促進や制度・環境の整備を進めた。

家庭への働きかけ

配偶者からの理解や協力を得ることや家庭内の役割分担体制づくりを支援するために、夫婦で参加する両立支援セミナーを実施。

上司(男性管理職)研修

女性を部下に持つ男性管理職を対象にした、アンコンシャス・バイアスや心理的安全性をテーマにした研修を実施。

男性の育児支援

仕事と育児の両立への理解促進や男性の育休取得100%推進を実施。

 

②数値目標設定

”数値目標の設定→(施策の実施→定期的な検証→施策の改善)→成果→数は力なり”
企業として、数字目標と期限を決めて施策を行うことが大事である。女性の管理職、技術者、採用割合など各種目標を設定した。

 

③社外の力を利用

新聞での報道や公的な機関から認定を受け、経営者層に表彰式にでてもらうことで、社内でのD&Iの意識醸成につながっている

例:均等推進企業表彰(厚労省)、エンパワーメント大賞受賞(日本生産性本部)、ダイバーシティ100選企業認定(経産省)、イクメン企業アワード(厚労省)

また、法律の後押しも効果が高く、積極的に対応・活用している。とくに近年では、2021年のコーポレートガバナンス・コードに「企業の中核人材における多様性の確保」追加されたことや、2022年の女活法改正男女賃金差異公表、2023年の内閣府令改正有価証券報告書情報開示の動きによって、担当者として取り組みを加速しやすい状況である。

 

◆取り組み上の課題と施策について

冒頭でも提示した多くの企業が抱える課題に対しても、理由、施策、具体的な内容をわかりやすくまとめてお話しいただき、心強いメッセージをいただきました。

 

    • チャレンジングな目標を設定することで、目標期限よりも早期の達成につながる
    • 担当自身の活動期間では実感はわかずとも、長いスパンでみると、あの時やったことが今に繋がっているということが後からわかる
    • D&Iの推進とは、誰もがいきいきと働く環境の構築である。そのためD&I推進に紐づいた取り組みだけではなく、社員が興味を持つ別のテーマや最新のトレンドを切り口にアプローチをすることで、結果的にそうした環境が整備されればよいのではないか

 

 

※大成建設様のダイバーシティ推進についてはこちら (HPより)

 

■質疑応答(一部抜粋)

 

Q:「DE&Iを推進するにあたり、建設業界特有の女性活躍推進の難しさ(伝統的な性別役割分担意識や、作業環境、労働条件の厳しさ)や、職種毎の推進支援の工夫があれば教えてください」

A:「社員の半分程が工事現場で働いているのですが、その現場における女性活躍推進の難しさを感じます。その理由の一つは『職場が一定しないこと』です。例えば、子育てを始めて新たな現場が自宅から遠くなってしまうと、そこで働くことが難しくなります。首都圏の場合は現場がいくつかあり、近くに配属することもできますが、地方だと難しいことが現状です。
また、『体力的な問題』も課題の一つです。特に夏の日中の現場作業は女性には厳しく、できるだけ本人の希望を聞いて配属を行なう工夫をしています。時には内勤で現場サポート業務に異動してもらうこともあり、できるだけ長く働いてもらうための配慮をしています。」

 

Q:「建設業は労働時間が長い業界ではないかと想像しているのですが、男性の働き方を変えるためにおこなった取り組みがあれば教えてください。」

A:「男性女性で変えた取り組みはありません。ただし、男性の働き方を変えるきっかけにしたいと思って行なった取り組みが、「男性の育休取得推進」です。劇的に働き方が変わるところまではいっていませんが、間違いなく“今までのやり方を変えなくてはいけない”というきっかけにはなったと思います。

 

Q:「2週間以上の男性育休取得の割合が約2割と急増していますが、日数を増やすための取り組みについて具体的な施策があれば教えてください」

A:「2022年の法律改正を機会に制度を充実させました。1つ目は、産後パパ育休で出生後8週間以内であれば最大4週間有休をとれるようにしました。2つ目は6回まで分割取得が可能に。3つ目は、2週間以上育休をとった社員は子どもが小学校卒業するまでフレックスタイム制度を利用できるようにしました。」

 

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男性社会のイメージが強い建設業界という理由からD&I推進に苦戦されている同業のご担当者様の参加も多く、「ここまで教えてくださるのですか?」という声が届くほど具体的なお話は、お取り組みの大きなヒントになったようです。さらに、苦労話もお話いただいたことで「結果がすぐにでなくてもこのまま取り組み続けることが大事だ」と勇気づけられたというお声も多くいただきました。

 

大成建設様は現在、D&Iの取り組みからDEIB(D:ダイバーシティ、E:エクイティ、I:インクルージョン、B:ビロンギング)の取り組みへと進化をされています。大成建設様の今後にも注目していきたいと思います。

 

なお、こうした取り組みの施策の一つとして、当社のキャリアと育児の両立支援セミナーeラーニングをご活用いただいております。

wiwiwでは、多様な人材の活躍によるより良い社会の実現に向けて、個社ごとの課題を把握し、風土醸成・理解促進の手助けをする各種サービスと、これらを組み合わせた推進パックを準備しております。ご関心のあるサービスがございましたら、お気軽にご相談くださいませ。

 

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