wiwiw介護アドバイザーの角田です。
「認知症になると何もわからなくなる」と信じられていた頃は、当事者が公に声を上げることはありませんでした。
それが今では、認知症の本人が講演会を開いたり、テレビに出演したり、本を書いたりして、認知症に関する誤解や偏見をなくそうと活動しています。
認知症の本人の言葉で印象深いものを紹介します。
「私たち抜きに私たちのことを決めないで!」
「認知症になっても 不便ではあるけれど不幸ではありません。できないことが多くなっても、自分は自分です」
「たとえ症状が進んでも私は私であり続けます。妻、母親、祖母であり、良き友人でありたい私。すべて『私』です」
皆がひとりの人間として見てほしいと訴えています。
先日、認知症に関するイベントで、長年認知症の診療に携わってこられた医師が、ご自分がアルツハイマー病であることを話されました。
症状としては「体験の確実性が揺らぐ」とおっしゃいました。
出かけるときに、ドアのカギを閉めたかどうか不安になる。
若い頃は、「たぶん閉めた」で済んだ。
年を取ると、「たぶん閉めたが、やっぱり戻ってみてこよう」と確認した。
今は、戻って確認しても一回では済まない。確認したことがあやふやになるので何回もチェックするから、進まない。
また、認知症の人と接するときに大切なことは
- 目線の高さを同じにして話す。1mくらいに近づいて、注目してにこやかに話すこと
- 人は一人ひとり違う。誰一人同じ人はいない。その人の尊厳性を大切に
- 認知症という病気の本体は暮らしが普通にできなくなること。それを理解して対応してあげるのが一番
と教えてくださいました。
先生は「上手に死ぬことを考えたい」のだそうです。進行役の方が「上手にいきますか」と聞くと「わかりませんねえ。やってみないとねえ」とユーモアのある答えで結ばれました。
たくさんの人の前で、堂々とご自分のことをお話しする先生を拝見して、ますます尊敬の念が強くなり、先生の願いが叶ますようにと祈りました。
皆さんの周りにいる認知症の人も、自分の話を聴いてもらいたいのではないでしょうか。
目を見て、認知症の人の言葉をゆっくり待って、穏やかで温かな時間を一緒に過ごすことが、尊厳性を大切にすることにつながるのではないかと思います。
自分が認知症になったとき、周りにいる人たちがそのように接してくれたら、安心できるし、うれしいですよね。
つのちゃん
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