導入事例

wiwiw導入事例
第6回
カゴメ株式会社
東京本社 人事部人材育成担当課長
大澤 博明 様

2015年10月にダイバーシティ推進室を立ち上げ、わずか2年半後に「新・ダイバーシティ経営企業100選」を受賞したカゴメ株式会社様。ダイバーシティ推進の柱の1つとして、仕事と介護の両立支援に取り組んでいらっしゃいます。「働きながらの認知症介護」や「妻や夫、子供の介護*との両立を考える」など、毎年新しいトピックをテーマに掲げ、成果を上げているカゴメ様に、仕事と介護の両立推進やwiwiwサービス導入の背景や効果についてお話を伺いました。

*「育児介護休業法」では、配偶者や子も休業取得の対象家族となっている。

「仕事と介護の両立」を経営戦略としてのダイバーシティ推進に活かす

大澤様 当社では、日本人の健康寿命の延伸に貢献するため2025年までに「トマトの会社」から「野菜の会社」に、という長期ビジョンを掲げています。幅広く新しい価値やサービスを提供するには、ダイバーシティの視点が重要と考え、経営戦略としてダイバーシティ推進に取り組みはじめました。

wiwiw ダイバーシティ推進の中でも、仕事と介護の両立に取り組み始めたのはなぜですか?

大澤様 ダイバーシティ推進室を立ち上げた直後は、女性活躍推進から取り組み始めました。女性が長く働くために何が必要なのか社内でヒアリングをしたところ、制度の充実よりも「働きがい」「職場内のコミュニケーション」が不足しているという声が多かったのです。そこで、女性だけでなく男性やマネージャー層、シニア層にも関係の深い介護問題に取り組むことになりました。従業員が自分ごととして身近に捉えられるテーマだと考えたためです。

介護をテーマに対話を深める

  

wiwiw 仕事と介護の両立についての取り組みはどのように始められましたか?

大澤様 外部セミナーや勉強会で情報収集を行う中で、wiwiwの公開セミナーに参加し、wiwiw「仕事と介護の両立支援室長」の角田さんに出会いました。それまで介護は深刻で重々しく、得体の知れないイメージを持っていましたが、角田さんのセミナーを受講して、明るく前向きに捉えることができました。コミュニケーションを深め、職場の雰囲気を高めていくには、角田さんのように対話型で介護支援を進めていくことがベストと考え、wiwiwと介護支援を進めていくことにしました。

取り組み1年目の2017年は、介護の基礎知識を深めるため仕事と介護の両立支援セミナーを開催しました。全国各拠点6カ所を回り、300名程度が参加しました。 介護両立に関する従業員アンケートを毎年行っていますが、この両立支援セミナーを開催した後、カゴメは仕事と介護を両立できる会社だという認識が大いに高まりました。この結果は、両立の基礎知識が深まり、従業員の安心感につながったためだと感じています。

両立支援2年目は認知症介護をトピックに、自走・自主運用

大澤様 取り組みを続けてほしいという従業員の要望を受け、両立支援2年目の2018年もセミナーを開催することにしました。ただ、2年目はより深堀して、介護の要因となる可能性の高い「認知症」にテーマを絞ることにしました。

このときは、角田さんによる「認知症に関する基礎知識」セミナーを各事業所のダイバーシティ委員に絞って開催し、委員が事業所に内容を持ち帰り、ファシリテータとなり従業員を集めて勉強会を開催する、というスタイルにしています。勉強会の教材として、1本約15分前後のwiwiw「認知症の基礎知識」をはじめとする動画を3本、イントラネットにアップしました。この動画を参加者みんなで視聴してから、介護に関するグループワークや両立支援制度の活用方法についてディスカッションしてもらいました。

wiwiw なぜダイバーシティ委員が勉強会を開催するスタイルにしたのでしょうか?

大澤様 従業員の自走・自主運用によりダイバーシティ・仕事と介護の両立についての自分ごと化をさらに進めるためです。また当初の目的以外にも、同じ事業所で働く仲間同士でディスカッション等のコミュニケーションをとったことで、お互いの事情について理解が深まった、相互理解により風通しが良くなった、との声も集まりました。セミナー参加人数が前年の倍となる600名になる、という効果もありました。

なお、ダイバーシティ委員は、業務の一環としてダイバーシティ推進を行っています。各事業所から1年任期で100人程度の委員を選出し、毎年テーマを決めて活動しています。

両立支援3年目は親御さんだけでなく、パートナーや子どもの介護をトピックに

大澤様 両立支援3年目は、カゴメの男性従業員の声をきっかけに老親以外の介護を取り上げました。この従業員はダウン症のお子さんを療育しており、親以外にも介護の領域があるのだと話してくれました。介護にも多様性があるのだと感じ、親御さんだけでなくパートナーや子どもの介護への理解も深めたいと考え、このトピックを取り上げました。

wiwiwの講師からは、パートナーの「精神疾患」や「病気(がん)の治療」、子どもの「障がい」や「難病」との両立をテーマにセミナーしていただきました。また前述の男性従業員からは、自身のダウン症のお子さんの療育と仕事の両立経験談について話してもらいました。この年は、講演を動画撮影して、各事業所の教材としています。

wiwiw このセミナーを開催した結果、どのような成果がありましたか?

大澤様 自分たちに身近なカゴメの従業員から具体的な子どもの介護の話を聞くことで、さらに当事者意識が深まったようです。「自分の身に起こったら…」と想像し、パートナーと話し合ったという従業員もいました。また、「人間として大切なことは何か考え直すことができた」「自分を開示する人が増え、風通しが良くなった」といった声もあがり、会社へのエンゲージメントも深まったように感じました。

ダイバーシティが受容される風土を醸成するには、活動の継続が重要

大澤様 コミュニケーションの活性化は、様々な方法で続けていかないとしぼんでしまうものです。そこで、介護セミナー以外でも、家庭からのダイバーシティ推進を図るという切り口から調理のワークショップを開催しています。皆でワイワイ調理をすることで職場の風土改革につなげています。ほかの取り組みとしては、「オムライス検定」というオムライスの調理技術や知識を問う社内検定があります。2019年5月からは、家庭からのダイバーシティ推進の輪を社外にも広めるため、その中の調理プログラムを実体験してもらう場としてイクボス企業同盟向けに提供しています。オムライスは冷蔵庫にある野菜で作れ、栄養素のバランスもよく、トマトケチャップでメッセージも描けるのでコミュニケーションを取る方法としてもおすすめです。

wiwiw 最後に、仕事と介護の両立推進を検討している企業様へ、アドバイスをお願いいたします。

大澤様 「介護」は対話のテーマとしてとても良いものだと感じています。介護の話をすることによって、日常では話す機会がない従業員ひとりひとりの背景や事情がわかってきます。そういった「相互理解」へとつながる対話の機会を、会社がしっかりテーマを据えて設定することが大切だと感じています。

wiwiw 貴重なお話をありがとうございました。

本インタビュー内容は、ダイバーシティ先進企業の取り組みをご紹介する弊社新聞「Calip」でも記載しております。紙面ご請求はこちらまで。

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