導入事例

wiwiw導入事例
第16回
株式会社ヨロズ
専務執行役員
春田 力 様

株式会社ヨロズ様は、サスペンションを主体とする自動車部品の専門メーカーとして常にオンリーワンの最新の設計技術や生産技術などの開発力を駆使し、ヨロズ生産方式(YPW)の革新によって、世界同一品質を実現されています。自動車業界が大変革時代に入る中、世の中の動きに敏感に対応し、全従業員一人ひとりにヨロズでずっと働きたいと感じてもらえる職場をつくる「働きがい改革」に取り組んでこられました。2021年11月には、神奈川県内の企業、また製造業としても全国初のプラチナえるぼしの認定を受けるなど、女性の活躍においても大きな成果を挙げられています。
ダイバーシティ推進、働き方改革、健康経営の推進といった複数の柱で進めてきた取り組みと、当時ともに推進体制をつくり、伴走させていただいた「コンサルティング」や「Webアンケート調査」の導入背景や効果、組織風土の醸成・深化についてお話を伺いました。

経営・人材不足への危機感から本格的に進めたダイバーシティ推進・働き方改革

春田様

wiwiw ダイバーシティ経営、女性活躍推進に取り組み始めた背景や当初の課題について教えてください。

春田様 日産が高い営業利益率と世界シェアを目指して海外進出をし始めた当初、ヨロズは全社的な人材不足に課題を感じていました。アメリカなどの自動車先進国に対しては、ヨロズの生産方式やルールを伝えられる人材を派遣していけばよかったのですが、自動車の発展途上国では、拠点ごとに社長、経理、技術、品質保証など、フルセットでの人材派遣が必要となります。さらに生産拠点が急拡大していき、各部で豊富な経験と技術を持つ人材を海外へ送り出すとなると、ヨロズ本社の人材不足は深刻化していきました。こうして、全ての従業員が働きやすく、仕事にやりがいを持てる環境づくりに向けて改善が急務となりました。状況をどうにか打開するもの、それがたまたまダイバーシティ経営の推進、働き方改革だったとも言えます。

女性活躍推進の取り組みを始めたのは2013年頃からです。当時は「女性活躍推進」という言葉も聞きなじみがありませんでしたが、少子化傾向・労働人口減少にある状況で、製造業を営む企業として、“女性にとって長く働きやすく、魅力的な会社でないといけない”という危機感がありました。経営トップからも本格的に女性活躍に取り組むことが発信されました。
まずは女性の声を聞くことから始めようということで、月に1度、部門長が推薦する女性従業員(国内拠点)を集めてテレビ会議システムでの「女性会議」を開始しました。しかし、国内の本社部門と製造部門では、業務内容だけでなく、働く環境や制度、職場の風土にも大きな違いがあり、皆さんの本音を聞き出すことは至難の業でした。拠点によってハードもソフトも違うため、自分たちの希望や困りごとを発信することに遠慮をしてしまっていたのです。そのため、特に働き方改革においては、本社部門と製造部門で無理に統一せずに、拠点ごとに取り組む方針を立てました。当社は子会社で分化していることも幸いし、拠点ごとに就業規則を柔軟かつスピーディーに変更することができたのです。この考え方が大きな進歩でした。

wiwiwサービスを導入して ~拠点ごとに取り組む“働きがいのある職場づくり”の推進~

wiwiw 拠点ごとの取り組みを加速するために、弊社では2017年よりコンサルティング、実態把握Webアンケート調査の支援をさせていただきました。

春田様 働き方改革、ダイバーシティ推進(女性活躍)において、試行錯誤しながらの手探りの時期に、wiwiwさんにコンサルティングに入っていただき、本社を中心に社長直轄の組織として、働きがいのある職場づくり「働き方改革」推進体制 「Smart Work Community」(スワコ)を設置しました。コンサルティングでは、“働き方改革への取り組みがなぜ必要なのか”という手ほどきから始まり、以下全般のご指導をいただきました。

  • 従業員が主体となる自主活動(ボトムアップ)型の取り組み
  • 役員、職制、従業員、全員参加の活動
  • 全員参加の多方面にわたるセミナー企画
  • 会議やセミナーの詳細な事前打ち合わせ

また、働きがいのある職場実態把握Webアンケート調査を実施しました。各部門の課題を抽出、課題に対する原因と解決策を明らかにし、定例会で協議して、制度に落とし込んでいく仕組みをつくりました。

wiwiw コンサルティングやWebアンケート調査を通じて良かった点や、ご満足いただけた点があれば教えてください。

春田様 この調査には、本社と国内拠点の全員が参加しました。当時の主担当者からは、以下のような点が特に良かったと聞いています。

  • 役員と社員の考えの違いが明確となり、課題がわかった
  • 社員の勤続意欲、昇進意欲など数値で把握することができ、目標の目安を設定できた
  • 従業員が意見を言える機会ができた

参加メンバー同士で内容を共有でき、部門ごとに良い競争が生まれたと思います。本社での取り組み開始から1年後には各拠点へ展開し、6年間で全国へ拡大していきました。例えばスーパーフレックスタイム勤務体制の整備も、スワコの取り組みによって進んだものです。一方、工場ではフレックスタイム勤務の実現が難しいため、時間有給休暇の制度を充実させることにしました。他にも、夏季休暇や年末年始などの長期休暇の前後に1日の有給休暇を取得できるようにしたことで、外国籍社員も帰国しやすくなり大変喜ばれました。

組織改編の時期とも重なり、改革・推進を維持することの難しさもありましたが、こうした一つ一つの積み重ねを大切にしてきた結果、残業時間は2016年当時の平均50時間ほどから45時間以内へ削減し、有給休暇取得率は8割程度と大きく改善しました。
2019年10月には健康経営宣言を行い、それに基づいて「健康で働きがいのある職場づくり」に取り組んだ結果、2021年から2年連続で経済産業省および日本健康会議主催の「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されました。「健康で働きがいのある職場づくり」は、現在もシニアの活躍などの「健康経営」へと引き継がれています。

“挑戦したい” キャリアアップを望む女性の育成

wiwiw 行動計画を立て、女性の育成についても着実に取り組んでこられました。施策や効果をお聞かせください。

春田様 女性が少ない工場では特に、女性がきちんと自分の意見を持って発言できるような環境づくりを進めてきました。例えば、B職(※)以上の女性従業員を対象に、面談で意見を聞いて意識のヒアリングをしました。それをもとに部門ごとに誰が何年後にどのようなキャリアを進んでいくのかといったキャリアパスに近い計画を作りました。リーダーシップというと、周囲を積極的に引っ張っていくタイプを連想しがちですが、中間管理職に求めている資質はそうではありません。いわゆるサーバントリーダーシップをとって、中間で自部門のパフォーマンスを如何に最大限に発揮させられるか。後者であれば自分にもできるという感覚を持てるようなリーダーシップ教育をすることで多様なリーダーの在り方を示し、徐々に女性の管理職昇格への不安を解消しました。

その後は、女性管理職比率の目標値を決め、年に2~3回の部門面談で女性従業員の育成について部門長へ進捗を確認したり、役員・管理職向けのダイバーシティ・マネジメント研修を実施したりしました。中でも一番効果があったのは、2020年10月~2022年の3年間にわたって実施した「女性面談」でした。また、A職(※)やB職の時に課題を与え、周囲を巻き込み業務を遂行する能力があるか見極めるなど常に女性の意識を高め、課長への昇格試験の際には、課題に対する成果を発表することで、本人も自信を持つことができますし、役員の納得感もあります。

このような地道な取り組みの甲斐もあり、女性管理職比率は2016年度の1.5%に対し、2022年度は12.3%となりました。また、女性面談の対象者への調査の結果、「キャリアアップを望むか」という問いに対し、“挑戦したい”と回答した人が6割以上という嬉しい結果が出ました。彼女らは、2018年にwiwiwさんに提供いただいた女性管理養成講座の受講者でもあります。受講者からは、以下のような感想がありました。

  • 拠点も含め、部署間の交流ができてよかった
  • 女性社員の考えと、管理職の考えには違いがあることが明確となり、課題がわかった
  • 初めて大勢の前で発表する方がほとんどで、良い機会となった
  • 講師が、参加者一人ひとりの良さを引き出してくれた

現在は、働き方改革もあいまって時間的な制約が減ってきて、成果をあげられる体制になっています。2016年度と2022年度を比較して、平均継続勤務年数も男女ともに伸びています。組織として結果を出すことが重要で、男女関係なく、成果を出す人が評価される風土ができてきていると実感しています。2021年11月には、女性活躍を推進する企業の中でも特に優良な企業に与えられる認定「プラチナえるぼし」を、神奈川県で初めて、また製造業としても全国で初めて取得することができました。

※A職、B職:一般職の上位職

さらなる組織風土の深化へ

wiwiw ダイバーシティの組織風土を醸成し、深化していくための昨今の取り組みと今後の展望についてお聞かせください。

春田様 ダイバーシティ推進、健康経営、働き方改革と3本柱で進めてきたので、スピード感をもって風土醸成ができてきたと思います。2022年3月にはダイバーシティ・ステアリングコミッティを設立しました。ダイバーシティの風土を深化していくには、自分の言葉で語れるようにしていくことと、コミュニケーションギャップを減らすことが重要です。つまり、従業員一人ひとりが、自分はどのようにダイバーシティに貢献していくのかを言語化し、伝えることで、経験に重きをおいて、つい「男性が~」「日本人が~」と文化的・伝統的な考え方をしてしまう状況を変えようと考えました。そして、手っ取り早くできるものから着々と準備を進め、すぐに経営会議にかけて実行に移し、2023年1月には、社内イントラネットで全役員、拠点長、部門長が自らの思いを伝える宣言を開始しました。「意見が言えるような環境を作る」「目的、手段を明確化して伝える」「相手の思いを受け止めた上でしっかりと自分の意見を述べる」などの宣言をすると、本人は「自分は宣言したんだ」という意識付けになりますし、受け取る側は「あの人もこう言っていた」と、職場の雰囲気も自ずと変わりますね。

昨今注目度の高い男性の育休取得促進もダイバーシティ、働き方改革の一環です。2022年4月からの改正育児・介護休業法の施行を受けて、上司から男性従業員へ取得を促したり、取得者の体験談を社内報へ掲載したり、管理職研修にて育児休業取得によるメリットを紹介するなど周囲に対する理解促進を行っています。これまで進めてきた働きがい改革の甲斐もあって、自然と男性の育休取得に対する意識のハードルは低くなったのか、2021年度の男性育児休業取得率は71.4%と想定よりも高い数値となり、子育てサポート企業として「くるみん」の認定を取得いたしました。今後は、育休を取得しなかった方向けのアンケートを実施し、さらなる支援を検討していきます。

その他の多様な働き方も進んでいます。以前からあった産育休者向けの在宅勤務の仕組みは、新型コロナウイルスの影響を受けて対象範囲を広げ運用したり、最近では遠隔地勤務制度を導入したりするなど、制度化を進めています。新しい働き方を推進し、プライベートとの両立を図りながら就業を継続することで、働きがいの向上を目指していきます。

wiwiw 貴重なお話をありがとうございました。

CONTACT

もっと詳しい内容を知りたい方、お気軽にご連絡ください

フォームでのお問い合わせの場合はこちら
資料請求・ご相談はこちら
電話でのお問い合わせの場合はこちら
03-5338-6551営業時間/平日 10:00~17:00 ※土日・祝日は除く