社員向けに無料で

企業として、社内の育休取得者にキャリアアップのための講座を用意するところもある。帝人は2003年、育休社員向けのオンライン講座を提供する「wiwiw（ウィウィ）」のサービスを使い、育休中の社員がビジネススキルや語学などの講座を無料で受けられるようにした。「職場復帰に不安を感じる声に応えた」と同社。これまでに延べ380人が利用している。

帝人グループの帝人ファーマの営業職、鵜篭留依さん（32）は、今年5月に復帰するまでの育休中、同講座を利用。子供が寝ている間に英語を勉強した。「昇進条件に英語テストのTOEICがあり、キャリアアップに英語は必須。これまでなかなか手につかなかったので、育休はいい機会だった」と振り返る。

自己啓発への意欲

育休中でも自己啓発に前向きな女性は多い。第一生命経済研究所が13年に首都圏、近畿圏で働く30～40代の女性に行った調査では、育休の利用経験がある女性の60%が「育休中も復帰に備えてスキルアップすべきだ」と答えた。

育休期間にいくら経営や語学を学んでも、鏑き続けられる環境がなければそれを生かせない。wiwi wでは、約550社にオンライン講座を提供しているが、人気を集めるのは、「パパにおくる育児マネジメント」や「成果を出すタイムマネジメント」など、仕事と育児の両立の仕方を教える講座だ。「パパにおくる一一」は、育休中の女性が夫と一緒に受講することを狙ったもの。夫に父親としての意識改革を促し、今後どう働いていきたいのかを話し合い、家事や育児を分担するよう勧める。同社普及推進部の深田真弓さんは「一人で育児と家事を狙いながら、仕事で成果を上げるのは難しい。夫をいかに巻き込んで、協力態勢を取れるかが、女性のキャリア志向の醸成に欠かせない」と話す。